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第1回 ランニングとは?
第2回 心停止を予防するには?
第3回 <ランニング編3>「熱中症」とは?第3回 <ランニング編3>「熱中症」とは?第5回 腰の痛み vol.1 〜筋・筋膜性腰痛症〜
ランニング Q&A
第3回 <ランニング編3>「熱中症」とは?

じめじめとした長い梅雨も明け、太陽がさんさんと照り出す暑い夏がやってきました。炎天下のスポーツでは、熱中症になるリスクが高くなります。今回は、熱中症とその予防方法をご紹介します。

熱中症とは?
熱中症とは、高温多湿が原因で起こる障害の総称です。
症状は、(1)大量の発汗後に水分のみを補給した場合に起こる熱痙攣、(2)脱水によって全身のだるさやめまい、吐き気、皮膚の蒼白などが起こる熱疲労、(3)体温調節機能が破綻して意識障害が起こる熱射病、(4)脱水に末梢血管の拡張が伴い意識消失発作が起こる熱失神の4つに分類されます。この中では熱射病が最も生命に危険を及ぼす可能性があるため、一刻も早い応急処置・救急搬送が必要です。
熱中症が起こる原因
体温は、通常一定に保たれるように熱産生(熱を生み出す)と熱放散(熱を放出)を繰り返しています。皮膚の温度と環境温度を体内の体温調節中枢という場所が感知し、発汗のコントロールなどをしています。
運動では、筋肉が大量の熱を産生しますが、高温多湿ではさらに皮膚に熱が加わることで、体内に熱が蓄積される、脱水が進むなど、熱中症のリスクが高まります。
熱中症による災害状況(厚生労働省)によると、毎年20人前後の方が熱中症により亡くなっています。月別や時間帯で見ると、7・8月、午後2〜4時で多発しています。
また、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病、睡眠不足や体調不良、過度な飲酒、精神的ストレス過多は、一般に熱中症の発生リスクを高めます。
熱中症の予防
運動を始める前に、運動環境と健康状態の把握が必要です。
気温や湿度、十分な睡眠や食欲の有無、体調を踏まえて、運動をするかしないかを決定しましょう。テレビやインターネットの天気予報、日本気象協会の熱中症指数などを参考にその日の運動プランを立てることも大事です。
水分のこまめな補給は最も重要な予防法のひとつです。氷などを入れて冷やした(水温5~10℃程度)スポーツドリンクなどを、15分おきに200mlづつ(コップ1杯程度)摂取するとよいでしょう。ただし、あまり冷えすぎた水を大量に摂取すると胃痙攣の原因になりますので、無理をして冷たい水をたくさん飲まないよう良く体と相談して摂取してください。
また、熱中症の原因となる熱を防ぐためには、日焼け止めの使用も効果的です。多くのスポーツ選手は、疲労の原因となる紫外線を防ぐために日焼け止めを積極的に使用しています。外気に触れている皮膚を保護することは、体温調節機能を保護することにもつながるので、全身に塗るよう心がけましょう。
もしも発生してしまったら
高温多湿環境で運動中に異変が起きたら、すぐに日陰で風通しの良い場所で衣服をゆるめ、氷のうやアイスパックなどを頭部やわきの下、鼠径部(足の付け根)にあて、意識がはっきりし寒さを感じるようになるまで続けます。
40℃を超える体温や意識の消失、全身の痙攣などが起きてしまった場合には、一刻も早く救急搬送の手配をします。応急処置は発症後20分以内の手当が重要とされていますので、初期の対応が非常に重要です。
大量の発汗による脱水の場合は、ナトリウムなどの電解質を多く含むスポーツドリンク(5~10℃に冷却したもの)を、手足が痙攣してきた場合などは食塩水など塩分濃度が高いものを摂取する必要があります。
いずれにしても熱中症の診断は非常に難しく、場合によっては命にかかわることがあるので、初期治療を行った後に医療機関にて診断、治療を受けることをお勧めします。